進行基準工事の完成工事高について

【進行基準工事の完成工事高について】

〔財務情報登録〕の「経過措置適用(進行基準)」の設定による計上方法の違い

【受注工事登録】

 請負金額:1,000万 課税区分:10% 消費税金額:100万 進行基準見積原価:500万

・適用しない
 計上する年月に関わらず、〔受注工事登録〕の「課税区分」で完成工事高の消費税を計上します。
 【進行基準完成振替】

・適用する
〔受注工事登録〕の「課税区分」が計上月の時点で施行されていなければ、1つ前の課税区分で完成工事高の消費税を計上します。
 【進行基準完成振替】

 2019/10/1(10%施行日)より前であれば、受注工事登録で10%と登録していても自動で8%とみなして計算します。
 ただし、計上月に消費税の残額が全て計上されますので、計上月の振替前には〔受注工事登録〕の消費税金額を調整する必要があります。

②請負履歴欄に複数の異なる課税区分を登録した場合 の計上方法

課税区分が複数登録された場合は、当期計上完成工事高を各課税区分の残額割合で按分します。

〔原価情報登録〕の「請負金額取得方法」が「請負履歴欄より集計」の場合のみとなります。

 「請負総額金額欄」の場合は振替時に請負履歴の課税区分を使用しません。

 工事の課税区分で計算しますので、課税区分が複数に分かれることはありません。

1.工事全体の当期計上完成工事高を算出

 当期計上完成工事高 = 請負金額(総額) × 完成工事原価率 - 前期迄発生完成工事高(総額)

2.工事全体の完成工事高残額を算出

 工事全体の完成工事高残額 = 請負金額(総額) - 前期迄発生完成工事高(総額)

3.各課税区分の完成工事高残額を算出

 各課税区分の完成工事高残額 = 請負金額(各課税区分) - 前期迄発生完成工事高(各課税区分)

4.課税区分毎の残高割合を算出

 課税区分の残額割合=3.各課税区分の完成工事高残額 ÷ 2.工事全体の完成工事高残額

5.課税区分の当期計上完成工事高を算出

 課税区分の当期計上完成工事高 = 1.当期計上完成工事高 × 4.各課税区分の残額割合

【受注工事登録】

 請負金額:1,000万 課税区分:8% 消費税金額:80万 進行基準見積原価:500万

<請負金額の増額>

 請負金額:1,200万 課税区分:10% 消費税金額:100万 進行基準見積原価:500万

【進行基準完成振替】

 <2019/10>
 1.当期計上完成工事高    :1,200×80%-700=260
 2.工事全体の完成工事高残額 :1,200-700=500
 3.各課税区分の完成工事高残額:[8%]1,000-700=300 [10%]200-0=200
 4.各課税区分の残額割合   :[8%]300÷500=0.6 [10%]200÷500=0.4
 5.課税区分の当期計上完成工事高:[8%]260×300÷500=156 [10%]260×200÷500=104
 <2019/11>
 1.当期計上完成工事高    :1,200×90%-960=120
 2.工事全体の完成工事高残額 :1,200-960=240
 3.各課税区分の完成工事高残額:[8%]1,000-856=144 [10%]200-104=96
 4.各課税区分の残額割合   :[8%]144÷240=0.6 [10%]96÷240=0.4
 5.課税区分の当期計上完成工事高:[8%]120×144÷240=72 [10%]120×96÷240=48

③請負履歴で課税区分変更のために相殺するような明細を入力した場合の計上方法

【受注工事登録】

 請負金額:1,000万 消費税金額:100万 進行基準見積原価:500万

【進行基準完成振替】

8%に関する完成工事高は課税区分の変更月から計上月にかけて徐々に0に近づく結果となります。

2019/10時点で8%に関する完成工事高を0にしたい場合は、〔振替伝票入力〕で相殺仕訳を入力してください。

④工事に登録されていない課税区分を振替伝票で入力した場合の計上方法

【受注工事登録】

請負金額:1,200万 消費税金額:100万 進行基準見積原価:500万

【振替伝票入力】

伝票日付:2019/10/1

科目:完成工事高 伝票金額:100万 0% [非課税]

【進行基準完成振替】

【最終結果】


 <2019/10>
 1.当期計上完成工事高    :1,200×80%-800=160
 2.工事全体の完成工事高残額 :1,200-700=500
 3.各課税区分の完成工事高残額:[8%]1,000-700=300 [10%]200-0=200
 4.各課税区分の残額割合   :[8%]300÷500=0.6 [10%]200÷500=0.4
 5.課税区分の当期計上完成工事高:[8%]160×300÷500=96 [10%]160×200÷500=64
 <2019/11>
 1.当期計上完成工事高    :1,000-100-868=32
  (請負金額 -伝票金額-前期迄発生完成工事高)
 2.当期計上完成工事高    :200-112=88
  (請負金額 -前期迄発生完成工事高)
 3.課税区分の当期計上完成工事高:[8%]120×144÷240=72 [10%]120×96÷240=48

計上月にその分の完工高を、〔受注工事登録〕に登録されている課税区分のうち一番低い課税区分とみなして計算します。

上記の例では伝票で入力した0%を5%の分の完工高とみなして計算しています。

消費税は請負履歴の金額通りに計上しますので、請負履歴の消費税金額を調整してください。

⑤課税区分を途中で変更した場合の計上方法

【受注工事登録】

 請負金額:1,000万 [8%] 消費税金額:80万 進行基準見積原価:500万

<2019/10/1に変更>

 請負金額:1,000万 [10%] 消費税金額:100万 進行基準見積原価:500万

【進行基準完成振替】

〔受注工事登録〕変更前に計上された完成工事高、消費税はそのままとなり、計上月で消費税の残額が計上されます。