原価回収基準完成振替

【原価回収基準工事の完成工事高・完成工事原価を計上する】

原価回収基準工事を対象に、損益計上の会計仕訳を自動作成します。

〔受注工事登録〕の完成計上区分が「原価回収基準」、且つ、完成区分が「未成」「完成」「計上」の工事が対象になります。

原価:今までに発生した未成工事支出金を完成工事原価に振り替えます。

売上:工事進行中は計上した原価金額を完成工事高として計上します。完成時は請負金額から売上計上済分を差し引いた残額を完成工事高として計上します。

<完成工事高の算出方法>

【工事進行中】

今回計上額 = 今回計上完成工事原価

【完成時】

今回計上額 = 請負金額 - 前回迄完成工事高

システムメニューより〔財務情報〕の決算グループの〔原価回収基準完成振替〕を起動します。

〔原価回収基準完成振替〕を処理する条件を入力します。

<入力項目>

1.計上方法を選択します。
 条件画面の計上方法と対象工事の〔受注工事登録〕の完成区分、社内工期(終了)によって、処理が
 制御されます。
 【進行中(1年目~)】

 【完成時(最終年)】

2.計上方法「月次」の場合、対象期間(年月範囲)を入力します。必須項目です。
 計上方法「四半期」の場合、対象期間(四半期)を選択します。
 計上方法「年次」「随時」の場合、入力できません。

3.処理を選択します。
 新しく作成する場合、もしくは再実行する場合、「振替データを削除し、新規データを作成する」を
 選択します。
 一度作成したデータを削除する場合、「振替データを削除する」を選択します。

4.振替単位を選択します。
 完成工事高、完成工事原価の振替単位が制御されます。
 A.工事・科目・取引先毎に集計して振替
 B.工事・科目・工種・費目・取引先毎に集計して振替

5.原価集計を選択します。
 完成工事原価の振替単位を工事・科目毎にする場合、チェックを付けます。
 未成工事支出金残高を取引先毎に管理していない場合に利用できます。

6.完成後発生伝票の計上方法を選択します。
 ※完成後発生伝票とは、〔完成振替〕の処理対象工事に発生した伝票のうち、〔受注工事登録〕の社内工期(終了)以降、完成した年度の会計期末までに発生した伝票のことです。
  
 計上方法が「随時」、「月次」、「四半期」の場合、選択できます。
 計上方法が「随時」、「月次」の場合、伝票日付は、発生した月の月締日で作成されます。
 計上方法が「四半期」の場合、伝票日付は、発生した四半期の四半期締日で作成されます。
 「対象にする」の場合、完成後発生伝票を処理します。
 「対象にしない」の場合で、且つ、計上方法が「随時」、「月次」の場合、「完成月の完成後伝票の処理」が選択できます。
 ※完成月の完成後伝票とは、〔受注工事登録〕の社内工期(終了)の翌日~月締日までに発生した伝票のことです。
  
 例)対象期間:5月1日~5月31日(締日:末日)、社内工期(終了):5月10日
 ⇒完成月の完成後発生伝票:5月11日~5月31日

7.請負金額の増減分の計上方法を選択します。
 計上方法が「月次」、「四半期」で、且つ、完成後発生伝票が「対象にする」の場合、選択できます。
 チェックを付けている場合、社内工期(終了)以降に追加変更された請負金額を月毎に集計し、社内工期
 (終了)時点で作成された売上伝票を一旦相殺した上で、再度追加分を含めた売上を計上する伝票が作成
 されます。
 計上方法が「月次」の場合、伝票日付は、追加変更が発生した月の月締日で作成されます。
 計上方法が「四半期」の場合、伝票日付は、追加変更が発生した四半期の四半期締日で作成されます。
 詳しくは【請負金額の増減に応じて計上する】を参照ください。

8.〔原価回収基準完成振替〕の結果、完成工事未収入金残高がマイナスになった場合の処理方法を選択します。
 ※今回計上される完成工事高よりも前受入金(未成工事受入金)の金額が上回っている場合に発生します。
  具体的には、未成工事受入金残高ベースで完成工事未収入金を消し込む仕様によるものです。
 チェックを付けている場合、完成工事未収入金のマイナス残高分を未成工事受入金に戻し入れる伝票を作成
 します。

②実行します。

〔ツールバー〕

<入力項目>

9.ツールバーの実行ボタンをクリックします。
 実行完了です。

〔原価回収基準完成振替〕の消費税計上

 以下の運用条件を満たす場合、工事に関する工事原価科目の消費税(仮払消費税)の消費税計上が実行され
 ます。
 【運用条件】
 1)未成工事支出金の消費税区分を「内税」で入力。
 2)〔システム設定〕〔財務情報登録〕消費税計上のタイミングを「一括計上時」に設定。
 3)〔システム設定〕〔財務情報登録〕工事科目消費税計上方法を「完成ベース」に設定。
 消費税計上は、「振替単位」「原価集計」で設定された単位で処理されます。
 完成工事高の消費税(仮受消費税)は、完成工事高とセット(一対一)で計上されます。

〔原価回収基準完成振替〕の注意事項

 計上方法が「月次」の場合、〔受注工事登録〕の社内工期(終了)は必ず登録してください。
〔受注工事登録〕の社内工期(終了)が未登録の場合、完成時(最終年)の工事として処理されません。
〔消費税計上〕の計上方法が「年次」の場合、〔完成振替〕の計上方法も必ず「年次」を選択してください。
 未成工事受入金の伝票の消費税区分は、課税対象外で取り扱うことを前提としています。
 未成工事受入金を課税対象科目として運用する場合は、〔原価回収基準完成振替〕は利用できません。

⑤作成される会計仕訳の詳細

仕訳は、以下の情報を基に作成されます。

<前提条件>
 【受注工事情報】
 工事名称:第二阪神高速湾岸線工事
 完成区分:未成
 完成計上区分:原価回収基準
 工事担当部門:本社土木部
 発注元:国交省
 社内工期:2018年4月11日~2020年10月20日
 請負金額:1,000,000,000円
 消費税:100,000,000円(外税10%)
 【完成振替情報】
 計上方法:年次

1)進行中(1年目)
 【会社情報】
 会計期間:2018年4月1日~2019年3月31日
 【発生伝票情報】
 未成工事支出金材料費(秋田産業):100,000,000円
 未成工事支出金外注費(岩手建設):100,000,000円
 未成工事受入金:200,000,000円
 【今期計上額】
 完成工事原価:100,000,000 + 100,000,000 = 200,000,000円
 完成工事高:200,000,000円
 仮受消費税:200,000,000 × 0.1 = 20,000,000円
 完成工事未収入金:200,000,000 + 20,000,000 - 200,000,000 = 20,000,000円

2)進行中(2年目)
 【会社情報】
 会計期間:2019年4月1日~2020年3月31日
 【今期発生伝票情報】
 未成工事支出金材料費(秋田産業):100,000,000円
 未成工事支出金外注費(岩手建設):300,000,000円
 未成工事受入金:400,000,000円
 【今期計上額】
 完成工事原価:100,000,000 + 300,000,000 = 400,000,000円
 完成工事高:400,000,000円
 仮受消費税:400,000,000 × 0.1 = 40,000,000円
 完成工事未収入金:400,000,000 + 40,000,000 - 400,000,000 = 40,000,000円

3)完成時(最終年)
 【会社情報】
 会計期間:2020年4月1日~2021年3月31日
 【今期発生伝票情報】
 未成工事支出金外注費(岩手建設):250,000,000円
 【今期売上計上額】
 完成工事原価:250,000,000円
 完成工事高:1,000,000,000 ー(200,000,000 + 400,000,000)= 400,000,000円
 仮受消費税:400,000,000 × 0.1 = 40,000,000円
 完成工事未収入金:400,000,000 + 40,000,000 = 440,000,000円